7月28日の午前、愛知県春日井市の王子製紙春日井工場で、タンクの点検中に配管が破裂し、アンモニア水を浴びた従業員3人のうち1人が意識不明の重体となる事故が起こりました。
その後、従業員の男性はどうなってしまったのか、事故の詳細を追います。
事故はなぜ起きたの?
この事故は、工場内で従業員らがアンモニア水が入ったタンクを点検していたところ、タンクにつながる配管が突然破裂したとのこと。
その配管を流れていたアンモニア水が不幸にも、男性従業員3人にかかってしまったのです。
アンモニア水がかかった3人は病院に運ばれましたが、そのうち全身にアンモニア水がかかった41歳の男性が現在意識不明の重体と報道されていました。
そして8月2日の夜、このうち村本秀樹さんが意識不明の重体になり、アルカリ熱傷による多臓器不全で死亡しました。
不幸中の幸い、ほかの男性従業員2人は軽傷で済みました。
警察は引き続き、事故の詳しい原因を調べています。
アンモニアは尿のイメージが強いのですが、実はとても毒性が強いようですね。
では、アンモニア水を浴びると人体にどんな影響があるのか、見ていきましょう。
アンモニア水とは?
アンモニア水の原料は濃度と純度の高いアンモニアです。
アンモニアは、常温常圧では無色の気体として存在しています。
アンモニアは悪臭防止法に基づく「特定悪臭物質」のひとつで、毒物および劇物取締法でも劇物に指定されています。
つまりめちゃくちゃ臭くて危険なのです。
また、日本では高圧ガス保安法で毒性ガス及び可燃性ガスにも指定されており、白色のボンベを用いるように定められています。
しかしアンモニアは化学工業におけるもっとも基礎的な窒素原料のひとつ。今回の事故のあった製紙工場でも排水処理用途として利用されていました。
また、アンモニアは化学肥料、合成繊維、染料などの原料となり、フロンガスが発見される前は冷蔵庫やエアコンの冷媒としても大いに利用されていました。
使い方を誤ると害悪となりますが、利益もあるがゆえ扱う際は本当に注意が必要です。
アンモニアの危険性や毒性は?
アンモニアの毒性と危険性にはどのようなものなのでしょうか。
今回のアンモニア水にように、液体状のものが飛散した場合は非常に危険です。
理由として、特に目に入った場合には失明に至る可能性が非常に高いからです。
そして、高濃度のガスを吸入した場合には、刺激によるショックが呼吸停止を誘発することもあります。
また、今回の事故のようにアンモニア水を浴びると火傷してしまうことが分かっています。
今回は被害にあった男性はアンモニア水がかかってしまったとのことなので火傷が主な症状とみられます。
これらの症状が現れる原因は、アンモニア水がアンモニアガスの水溶液で、やや強いアルカリ性の溶液だからです。
ですから、皮膚についたり眼に入ったりしないよう注意する必要があります。
アンモニア水を取り扱う時はゴム手袋をし、メガネやゴーグルをかけるなどするといった対処が必要不可欠です。
アンモニア水は強い刺激臭があり、まともに吸い込むとそのショックで失神することもあります。
アンモニア水事件にネットの声は?
「アルカリ熱傷による多臓器不全で死亡しました。=痛まし過ぎる。」
「工事前には工事依頼者が配管内部流体を抜く、できなければ専門業者が抜くことをしなければ配管業者は作業できない。面倒とか金がかかるとかの問題ではない。怪我だけでも対策にそうとうな時間と金がかかるのに、死亡となったらとんでもない。」
「工事業者のことを軽く見すぎ。
対価があるとはいえ依頼者にはできないから、汚い、きつい仕事をやってるんだ。金出せばなんでもやるわけじゃない。
勘違いするなよ。」
「幾度となく現場体制強化しても、人が作業してる以上は事故は無くなら無いと思うから、次に同じ危険を冒さない手順強化を再度見直して努力する他無いと思います。」
「5日間がんばったんですね。
さぞ無念でしょうが、どうか安らかにお眠りください。
もうこんな事故が起きないよう原因究明と対策をお願いしたいです。」
「医学の知識がないのでどんな熱傷なのか知らないので、とても悲惨で痛ましい最期だったのかと想像してしまい、胸が痛みます。」
日本の工業の安全性は高度経済成長期に比べて大きく改善され、安全性も高まっているのは事実ですが、まだまだ完璧とはいきません。
隣の国をみれば、安全装置など一切付けずに、日給数十円ほどで働かされている人も存在します。
こうした事故は大変痛ましい限りですが、決して無駄にしてはならないと強く思います。
改善と改革を行い、他の国々の手本となるような工場を目指して、責任を取ったらこの失態をより良い未来に繋げて欲しいです。
村本秀樹さんのご冥福をお祈り申し上げます。