アルジャーノンに花束を由来?胎児期にダウン症を抑制する化合物とは?

名作「アルジャーノンに花束を」のストーリーには脳機能を向上させて、知的障がいを治してしまうという魔法のような薬が登場します。

物語の中で主人公は、障がいを克服し、天才科学者にまでなりましたが、薬の副作用で元に戻ってしまいます。

VRやホログラムなど、昔の小説ではSF世界のお話だったことが、実現していく現代で、この魔法の薬が実現しつつあることが9月4日に分かりました。

はたして発見された化合物「アルジャーノン」には小説のような効き目や副作用はあるのでしょうか?

実態を探っていきます。

新化合物「アルジャーノン」とは?

9月4日、京都大学大学院の萩原正敏教授らの研究チームはダウン症で障がいを引き起こす原因の一つとされる遺伝子の働きを抑制する、新たな化合物を発見したと発表したました。

生まれてくる赤ちゃんがダウン症とわかると、その後の人生を考え、降すという選択を考える親も多く存在するなか、この化合物は出生前の胎児の治療につながる可能性があると分かりました。

研究チームは新化合物を「アルジャーノン」と命名。

時事ドットコムによると、今後論文がアメリカ科学アカデミー紀要に掲載される予定だそうです。

ブリタニカ国際大百科事典によると、ダウン症は21番染色体が1本多くあることで起こります。

知的障がいや心疾患などの合併症を伴い、出生前診断が可能だが、根本的な治療法は存在してません。

研究チームは、ダウン症の人では神経細胞の増加を抑える遺伝子が過剰に働いていることに着目し、この遺伝子の働きを妨げ、神経細胞の増殖を促す化合物を、717種類の候補から探し出しました。

実験ではダウン症の胎児を妊娠した母マウスに、アルジャーノンを5日間投与。

この結果、胎児には大脳皮質が通常より薄くなるダウン症の特徴が出なかったということです。

これまでの世の中では、奇跡でも起きない限り赤ちゃんのダウン症は治らないとされてきました。

それゆえに絶望し、中絶してしまう悲しいケースは今でもあります。

そんな理由から、世界を見ることも叶わずに失われていく命を、アルジャーノンなら救えるかもしれないのです。

さらに、研究グループは、ダウン症の人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った神経幹細胞でも効果を確認しました。

京都新聞によると、萩原教授は「ダウン症だけでなく脳梗塞やパーキンソン病など、ほかの病気にも応用できるはず」と話していますが、「人のダウン症へ使うには、安全面の課題を解決した上で社会的な合意が必要となる」としています。

アルジャーノンと命名したのはなぜ?

今回のニュースに対して、Twitterでは「アルジャーノンという名前が気になる」「ラストを知っていてのネーミングか?」などの投稿が見られました。

作家ダニエル・キイスのSF小説『アルジャーノンに花束を』に登場するネズミが、「アルジャーノン」という名前でした。

このネズミのアルジャーノンは、 新薬によって天才ネズミとなりますが、後に薬の副作用が発覚し、幻覚や異常行動などを起こして死んでしまいます。

研究チームはこの小説のことを知った上で、新化合物をアルジャーノンと命名しています。

やや不吉にも思えますが、ロマンある命名は素敵だと思います。

研究結果によってはアルジャーノンの意味は、悲しいものではなくなるかもしれませんね。

小説「アルジャーノンに花束を」とは?

簡単に解説すると、知的障がいのある男性・チャーリーが主人公の物語です。

チャーリーは外科手術によって知能を上げる研究をしている教授らから、人体実験に誘われます。

教授らは、ネズミのアルジャーノンを、天才にする手術に成功していました。

手術を受けて天才になったチャーリーは、複数の外国語を理解し、数学や物理学にも精通します。

しかし、自分がモルモット扱いされていることに気が付き、ネズミのアルジャーノンを連れて教授らの元を逃げ出してしまいます。

ところが、しばらく経つとアルジャーノンに異常行動が増えるようになってきました。

チャーリーは、薬の副作用ならば自分にもじき同じことが起きると悟ります。

手術により上がった知能の向上は一時的なものと気がついたチャーリーは、「人為的に誘発された知能は、その増大量に比例する速度で低下する」との結論に達するのでした。

続きが気になる方はこの機会にぜひ、名作「アルジャーノンに花束を」をお楽しみ下さい。

新化合物アルジャーノンにネットの声は?

アルジャーノンに花束を。懐かしい作品に思わず読み返したくなってしまいます。

アルジャーノンの研究が実を結べば、ダウン症を理由に中絶となってしまった命たちがようやく報われます。

これから生まれてくる赤ちゃんが、ダウン症を理由に亡き者とされることのない世界はもう目と鼻の先にあるのかもしれません。

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