絶滅危惧のタイセイヨウセミクジラ大量の不穏死、原因はなぜ?

1頭目の不審死体は6月6日に発見されたものだった。

生きている個体の絶対数が少ない絶滅危惧種の死は、生態系への影響が深刻に心配される。

直接的な捕食関係にある生物はもちろんだが、私たちも他人事ではない。

まずは絶滅危機に瀕する大型動物が数週間のうちに相次いで死んだとなれば、保護活動に関わる人々は、原因究明のためにあらゆる手を尽くす。

タイセイヨウセミクジラとは?

出典 www.s.kaiyodai.ac.jp

タイセイヨウセミクジラは、クジラ目ヒゲクジラ亜目セミクジラ科セミクジラ属に分類されるクジラの1種。

体長は13~18mにおよぶ。

生息域は北大西洋海域。

かつては人間により盛んに捕鯨されたが、現在の捕鯨は禁止され、絶滅危惧種として保護されているクジラ。

顔のところにある独特な模様が神秘的な感じ。

タイセイヨウセミクジラの不審死

ぱっと見たところ健康そうなだったタイセイヨウセミクジラ6頭が、カナダのセントローレンス湾で死骸となって見つかった。

タイセイヨウセミクジラは、クジラの中でも特に希少な種だといわれ、国際自然保護連合(IUCN)によると、かつては数万頭が暮らしていた北西大西洋における生息数は、現在350頭ほどだという。

カナダ水産海洋省世界によれば、タイセイヨウセミクジラの数を500頭と推測しているが、どちらも似たようなデータだ。

6月6日に報告のあった1頭目の死骸は、ニューブランズウィック州の東に位置するマグダレン諸島(マドレーヌ諸島)沖を漂っているところを発見された。

「この種の場合、たとえ1頭であっても、その死は種全体にとって大きな痛手となります」と、マリン・アニマル・レスポンス協会のトニア・ウィマー会長は語る。

タイセイヨウセミクジラは、20世紀に捕鯨が原因で激減したのち、生息数が回復することのないまま現在に至っている。

最初の死骸が見つかってから約2週間後の6月19日に2頭目、6月20日に3頭目が発見された。

さらに6月20~23日の間に3頭の死骸が見つかった。

「これほどの短期間に、同じエリアでクジラが立て続けに死ぬというのは、極めて異常に感じられます」とウィマー氏はいう。「大災害と言っていいでしょう」

セミクジラの死因は?

この大災害に対し、カナダ水産海洋省、動物保護団体のマリン・アニマル・レスポンス協会、カナダ沿岸警備隊などが、力を結集してクジラの死因を探っている。

2013年のある報告書には、水質汚染物質、騒音、餌となる生物の減少、地球温暖化などのすべての要素が、セントローレンス湾のシロイルカの生息数に打撃を与えているそう。

シロイルカがすむ海域は、セミクジラのそれと重なる。

またシロイルカとは違い、クジラが餌にしているのは、気候の変化に影響を受けやすい動物プランクトン。

詳しい死因を特定すべく、ウィマー氏ら地元の保護団体は、クジラの死骸を岸に上げて検視を検討している。

結果が出るのがいつにはるのかはまだわからないが、死骸はすでに腐敗が始まっていることから、事態は一刻を争う。

死因には、すぐに判明するものもあれば、見ただけではわからないものもあるからだ。

6頭のクジラに共通する死因が判明すれば、研究者や政府が、漁業を規制する、船の航路を変えてクジラの通り道を避けるといった対策を提案できるようになる。

ウィマー氏は、種の救済には協力が不可欠だと強調する。「現在我々は、セミクジラを絶滅の淵からなんとか引き上げようと活動しています」と語った。

美しい自然や地球環境を子どもたちに残したい、というのが世界的な動きだが、密漁や乱獲などを行う人の中にもまた「自分の子どもに貧しいおもいをさせたくない」と考えている人がいることも事実。

人間が子孫を守りたいという同じ思いを抱えていながら、相容れないのは利害の不一致からでしょうが、一方的に乱獲される動物としては本当に迷惑な話だなと思う。

人間を含めて、他の生物たちとうまく共存していくための活動はまだまだ始まったばかりだ。

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