重さの定義が変わったと聞いて、「まあ、自分には関係ないか。」と思う方はいないと思います。
日本で「kg(キログラム)」は最も使われている重さの単位でしょう。
例えば、体重とか、荷物の重さとか、体重とか、ステーキ肉の重さとか、体重とか。
今回なぜkgは定義の変更となったのか、気になりますか?
それと定義の変更後、私たちに支障はないかは大切ですね。
早速見ていきましょう。
kgの定義
世界にはさまざまな単位がありますが、その中でもSI基本単位である7つの単位は特に重要とされています。
なぜなら、その他多くの単位がこの7つを組み合わせや換算によって定められているからです。
イメージとしては、単位界のボスたちという感じでしょうか。
出典 http://www.highschooltimes.jp/news/2015-04-p14-04.jpg
ご覧の通り、IS基本単位の質量は代表選手がキログラムなのですが、実は1970年代から定義の不安定さが問題視されていました。
他のSI基本単位は概念で定義されていて、安定しています。
定義と概念の情報さえあればいつでも誰でも計り直せますし、情報は時間が経っても変わらないからです。
対してキログラムは、1889年に作られた「国際キログラム原器」と呼ばれる合金製(白金90%、合金10%)の重りが、現在でも1キログラムの基準となっています。
出典 村上衡器製作所
画像は国際キログラム原器のレプリカです。
世界に一つしかない直径39ミリ、高さ39ミリの円筒形のキログラム原器はフランスに保管され、世界50カ国に複製品が配られています。
原器もしくは原器の精密なコピーがないと正確なキログラムを知ることができないうえに、なんと時間が経つとともに質量が(汚れの蓄積と測量方法の変更によるものとはいえ)僅かながら変化してしまっているんです。
ボスが意見のコロコロ変わっては私たちも困りますよね。
そのような事情があり、2011年にはキログラムの再定義が決定しました。
そしていよいよ2018年に新定義が採択される予定というわけです。
どんなに新定義?
近年、原器と複製品に最大1億分の6キログラムの誤差が見つかり、各国は新しい基準作りに乗り出しています。
日本や欧州はシリコン原子の数をベースにした「アボガドロ法」。
米国やカナダでは、電磁力の力を電気の力に換算して質量を定義する「ワットバランス法」に取り組んでいます。
2018年に開かれる国際度量衡総会で両方の方法が新基準として採用される可能性が高いとみています。
現在もっとも有望視されているキログラムの新定義は、概念で定義できる電磁力がベースの「ワットバランス法」です。
ここで鍵となるのが特殊相対性理論とプランク定数。
特殊相対性理論は質量とエネルギー量を結びつけ、プランク定数は電磁波の光子のエネルギー量とその周波数を結びつけます。
新定義ではプランク定数を固定することで、間接的に質量を定義しています。
しかし実用性で考えると質量は重さで測りたいですよね。
そこで重要になってくるのがワット天秤(キブル天秤)という非常に正確な天秤で、プランク定数と重さを電磁力を通して結びつけます。
仕組みをとしてはまず、永久磁石と電磁石の反発し合う力を、電流と電圧を調節することで、測りたい物体の重さと釣り合わせます。
次に電流と電圧を測り、ワット天秤を校正したときに得たデータと照らし合わせることで、重さを割り出します。
最後に、重さを重力加速度で割ることで、質量を計算。
要は電流と電圧を測ることで、間接的に質量が測れる装置なのです。
生活への影響は?
定義についていろいろと話してきましたが、たとえ更新されたとしても日常生活にはとくに影響はありません。
今回のお話は豆知識みたいなものとして活用して頂ければ幸いです。
ちなみに、再定義に使用されるワット天秤は、ドイツ物理工学研究所によって作成されています。
こちらのD.I.Y.動画によれば誰でもミニチュアバージョンが作れるそうです。
なんだかコミカルな映像ですが、マニアなあなたはぜひ作ってみてはいかがでしょうか?